東司・東町屋台蔵
東司・東町屋台蔵は、長野市の中心市街地の善光寺門前町に立地し、昭和初期に建てられた土蔵造りの商家で、洋小屋トラスなどの古い建築部材を用いて再生した建物である。
善光寺門前町の東町は、問屋街として長い歴史をもち、昭和40年代頃まで活気にあふれていたが、近年は空洞化し、この建物も倉庫となって老朽化していた。
建物の前面道路が国道406号線に拡幅されて以降、善光寺を参拝する観光客や地域の人々の往来が激しくなり、周囲の環境や景観にふさわしい利活用が検討され、公衆トイレを含む地元の屋台を収蔵する蔵や集会施設、ギャラリーを併設する建物として再生された。
「東司」とは寺院における「トイレ」を意味していて、それは「修行の場であり清潔であることを重んずる場」であることが示され、善光寺門前町にふさわしく、古い家屋の雪隠のような静かな気持ちで手を洗う「洗心」の場となっている。
■所在地:長野県長野市
■竣工年:2015年
■延床面積:225.61㎡
■構造:木造
■階数:地上2階
■受賞歴:第28回長野市景観賞